children of men

予告で見ていてよさそうだなと思ったので見に行ってきました。

設定は未来のイギリス。イギリス映画だったんですね、知りませんでした(笑)。原作の本があるそうで、それがイギリスの作家らしいです。

で、2027年という設定なので、たかだか21年後なんですよね。
そのころの世界はすでに混沌とし、人が戦争やいさかいでどんどん死んで、さらに人々は原因不明の不妊症に陥り世界で最年少の人間は18歳のメキシコ人(だったかな)。
そして、すでに人類は新たには誕生せず死に逝くだけ、という世界の中でもまだ文明らしきものを残しているイギリスは、難民移民であふれかえり、極端で閉鎖的な移民制度を採っています。すでに人間は人間扱いをされず、檻に入れされ隔離され。
そういうわけで町の中には銃器を持って武装した軍隊のようなものがあふれ、テロは日常的。

主人公のセオ(もしくはテオ?セオドアの略)は昔人民開放活動のようなものをしていたころの奥さん(今はなぜか分かれている、離婚か別居かはわからなかった)のジュリアンに久しぶりに連絡をもらい(ちょっと荒っぽいが)、ある頼みごとされたときから物事の渦中に飛び込んでいきます。

はっきりいってものすごく暗いです。テーマ自体はめちゃくちゃ暗いですが、そこはイギリス映画ですんでそこここにブラックユーモアが光ります。細かいところでいちいち笑えるんだよねー。
でもそれもまあ中盤までかな。後半はもう怒涛のようです。感情がぐわーーってきますね。

生命とか人間とかってなんだろうね、と思っちゃう。ああいう風に死ぬしか先がないような世の中でも、まだ人は殺しあってしまう。希望がなく、死しかないような世の中であの人たちは何を思って生きているんでしょう?

その中での一筋の希望。それがもたらす意味の大きさ、というのは今の私たちもちょいと見つめなおさないといかんのじゃないかなーと気がします。
私的には結構よろしい映画だったと思います。

実は先週、あすとるさんのところでちょっと差別的かも、と読んでいたので構えていたのですが、私的には気になりませんでした。
確かに主題的に難民を扱うのでどう描くか難しいところだなとは思うんですが、基本的にはバランスよくかけていたんじゃないかと。というか、どちらかというと難民移民寄りだったと思います。
イギリス人(というか支配、差別する側)の傲慢さ、身勝手さ残酷さが顕著にいやらしく描かれていて、打倒イギリス!なんて気分になってもおかしくありません(笑)。

でも何をいえば、ジュリアンというキャラ。
セオが活動をやめた後も続けていたようで、あるグループのリーダーなんですが、なぜああいうグループと行動を共にし、ああいう行動をとるのかいまいち説明が足りません。一応彼女の過去とつながって、実らない温和的活動を見限ってのことがひとつだと思うんだけど、それだけでは弱すぎる気がする。あれだけ信念も持って活動していて、途中のシーンでは、信用できるのはセオだけ、みたいなせりふも出てくるのに、どうして?と思っちゃうんですよねー。信用もしていないグループとああいう活動、計画をしていたのはちょっと納得いかないかなー。「ああいう活動、計画」については内容に触れることになるので、流します。

その辺時間の関係で説明できなかったのかもしれないけど、疑問に思えました。

後、世界がなぜそういうふうな方向性をとった経過も見てみたかったし、イギリス以外の国はどうなってるかというところも、もちょっと最初のほうで見たかった気がします。

映画自体は本の内容からどこまで離れているのか、そこら辺も気になります。結構前にかかれたもののようですから、たぶん設定はかなり違っているかと。機会があったら読んでみたいです。(といつもこんなんばっかりだな)

もひとつ疑問。本のほうではどうなのかわからないけど、映画のほうの題名、なぜ、childrenと複数形なんだろう?