迷信ができるまで

ネットで「23という数字によく出くわす。不思議」という書き込みを見ました。


The number 23という映画があるの、ご存知ですか? ジムキャリーがでてくる、ちょっとしたスリラーなんですが。
やっぱり同じように主人公が23という数字に付きまとわれる、という話ですが、これはnumber 23 enigmaと呼ばれているそうです。


Wikipedia (英語)
ウィキピディア


数字って面白くて、どういう風に計算するかによってどうとでもこじつけられるんですよね。
上記の日本語のウィキピディアに載ってる例だって、こじつけっぽいのがちらほら。
ジョン・F・ケネディは1963年11月22日に暗殺され、刺客であると思われるリー・ハーヴェイ・オズワルドは1963年11月24日に殺害された。これらの中間の日付は23日である」って、中間って(笑)。


例えば、書き込みでは、23の話をしていた友人の誕生日が7月16日! 足したら23。
でも、これ、7+1+6という風に計算すると、まったく違う結果がでますね。誕生日だから、その人の生まれた年(西暦でもいいし、年号でもいいし)も考慮すると、また違う数字が出てきます。


こうやっていくと、どの数字でも意図的に関連性を生み出すことができるようになります。
人間というのは心理的に、何の関連もないところから関連性を生み出すことが得意なようですよ。


ダレン ブラウンという人がいるのですが、この人がよくテレビ番組で心理実験的なことをやっています。
先日見たのがまさにこれでした(ちなみにtrick or treat2, episode 6。youTubeで検索するとでてきます(いくつかのパートに分かれています))。


以下概略。


5,6人のグループが、ある部屋に入れられています。
ガラス張りのドアの外には、テーブルが置かれその上には各自の名前が書かれたネームプレートと、10万円(500ポンド)の札束。


そして「30分以内に100点得点すればドアが開く」、「ドアをあければお金がもらえる」というのがゲームのルール。
でも、参加者は得点するために何をすればいいのかは知らないのです。
何とかして30分以内に100点得点しようと、部屋にある数々のもの(クッションやらフルーツやらおもちゃやら)を利用して、得点するための方式を見つけようとします。
床の書かれている赤い丸に赤いクッションをおいてみる、とか、おもちゃを特定の方法で使ってみる、とか、特定のものを特定のところにおいてみる、等々。


参加者は電光板に表示される点があがるたびに、自分たちの行動と得点の関連性を見つけようとします。


最終的に参加者は無事100点得点して、10万円を手にするのですが、そのときに「どうでしたか?」とたずねられると、大方の人が、「最初は戸惑ったけど、最終的にはルールがわかったと思う。これこれこういう風にすると点が入るんだったと思う」という風に答えています。


が、実はその得点方式はランダムだったんです。
別の部屋でまったく関係ない人たちが、適当に点を入れてたのでした(実際は水槽に入った金魚の動きにあわせて。笑)。
つまり、行動と結果が連鎖しない、cause & effectと英語では言いますが、それがまったくなかった。
でも、参加者はそのありもしない関連性を見つけようと必死だったわけです。


これは「迷信」の元なんだそうです。


そしてちなみに、その部屋の天井付近には、「始まってから5分後にドアの鍵は開きます。ドアから出れば3000万円(15万ポンド)あげます」とかかれていました。
つまり、閉じ込められていると思っていた参加者は勝手にそう思っていただけだった、ということ。


面白いですねー。