百聞は一見に如かず? 五感について

昨日かな、テレビで「is seeing believing?」(英語で言う百聞は…以下略)と言うテレビ番組をやっていた。
見ることは信じること、つまり、目に見えることをすべて信じちゃってもいいの?と言う問いかけ。


目くらましと言うか、エッシャーの絵などでも有名ですが、人間の目って結構騙されやすいものです。
同時にそれぞれ他の感覚も、独立しているのではなく、お互いに影響しあっています。


テレビでは実験として、元の味とかけ離れた色をつけたフルーツ味のジュースを見習いシェフの人たちに味見してもらい、それが何の味であるのか当てるという実験をしていました。
例えば、緑色をしたイチゴジュースはライムやら林檎やら色に惑わされた答えがぞろぞろ出ていました。
これは結構知られた事実だと思うので、ふーんと思ってみていたのですが、驚いたのは、視覚が聴覚に影響しているという事実です。


画面では、一人の男の人が、「バーバーバー」と繰り返し言っているのがみえます。口を大きく開けてさながらエサをねだっている鳥のヒナのようです(笑)。
特に問題ありません。


そこで、画面が変わって、同じ男性が、今度は、下唇を上の前歯で抑える口の動きをしています。ちょうど、fの音を出すような形です。
音はずっと同じように続いているのに、なぜか、今度は「ファーファーファー」と言っているように聞こえてくるから不思議です。


さらに画面が変わって、今度は両方の口の動きをした男性の顔が横並びに両方映し出されます。
片方を見て、もう片方に目を移すと、途端に聞こえてくる音が変わるのです。
つまり、出ている音は同じなのに、音を出していると思われる男性の口の形を見て、見ている(聞いている)私たちの脳は「こういう音が聞こえてくるのに違いない」と判断して、音を処理しているのです。
何を見ているか、と言う視覚が何が聞こえてくるか、と言う聴覚に影響しているためです。


これは、そういう風になる、と知識として知っているからといって、阻止できるものではないそうです。
脳は、外界から入ってくる、ありとあらゆる大量の情報を効率的に処理するために、こういう回路になっているんだそうです。


もう一つ興味深かったのは、新しい感覚、第六感ではないですが、そういうものを開発しようとしているドイツの大学の研究者の話でした。
その女性は、地球の地場を利用した、方向感覚のようなものを身につける道具を使って研究していました。


腹巻というか、腰に巻く幅の広いベルトのようなものに、携帯電話の振動する部品を何個もつけ、さらにそれをコンパスにつなげ、コンパスからの情報で、常に北に当たる部分の部品が振動するようになっています。
それを被験者につけて貰い、何週間か生活してもらったそうです。


数週間後、その被験者の男性に目隠しをし、その人が知らないパターンの形の白線の上を手を引いて歩かせます。その後、ぐるぐるその場で回転させた後、線の上を再び、今度は一人で歩けるかどうか実験してもらったのです。
その人は、ほぼ間髪おかず正しい方向に歩き出し、白線の上を間違うことなく歩いて見せたのでした。
振動するベルトによって、自分が常にどちらを向いているか、感覚的に分かるようになったそうです。


最初は変な感じだったけれど、1、2週間もしたら、すっかり自分の体の一部になったようだった、と被験者の人は言っていました。頭で考えることなく、感覚の一部として、方向を「感じ取る」ことが出きるようになったそうです。
もちろん、ベルトがなければ意味がない中途半端な「感覚」なのですが、それでも人は新たな「感覚」を生み出すことができるのだ、と言う証明になった第一歩だと。


興味深い番組でした。