カナルボート


会社のイベントでカナルボートに挑戦してきました。
カナルボートとは、そのまんま、カナルで乗るボートです。カナルとは運搬用に使われた水路の事です。
鉄道に取って代わられるまでは、このカナル水路がイギリス産業に大きく貢献していました。
今ではすっかりレジャーに使われるだけのようですが。


今回は、1泊2日での挑戦。
とは言っても1日目はスタートが4時、7時にはパブで夕飯の予約がされていたそうですから、それほど長くはないのですが、初挑戦の私たちにとっては十分な長さだったと言えます。


最初に、ボートハイヤーセンターで10分のまるでコメディのような説明用DVDを見せられ、3台のボートに分散。
エンジンの掛け方やステアリングの仕方などをざっとおそわって、もう?!と言うような早さで既に出港(港じゃないけど)。


私の乗ったボートは一番奥に配置されていたので、一番最後の出発。うちらの前のボートは、後ろ向きに停めてあったので反転させなくてはならず、かなり手間取っていたようです。


出発すぐの数メートルで既に水路の端に泊めてあるボートにぶつかってるし。
最初の何十メートルかはセンターの人たちが一緒についてきてくれましたが、それから先は私たちのみ。一抹の不安が(笑)。


見てると簡単そうですが、まっすぐ走らせるコツをつかむまで、何度もふらふらと端にぶつかったり岸近くの浅瀬に乗り上げて、にっちもさっちもいかなくなったり。水路自体は、落ちても胸の高さくらいの水深しか無いそうで、岸近くはかなり浅いので、スクリューがうまく回らなくなってしまったり、前が乗り上げてしまうとエンジンだけでは動けなくなってしまうんですね。


しょうがないから、ボートに備え付けの長い棒のようなもので岸を押してみたりして、ボートを岸から離したりしてしのぎました。正しいやり方なのかどうかわからないけど、まあよしとしましょう(笑)。


水路には途中いろんな難関が待ち受けています!(大げさ。笑)


一つは、スウィングブリッジと言う、回転式の橋。
港とかには跳ね橋とかがありますが、まあ似たようなもので、上に上がるのではなく、橋の片方の端を機転にして岸と平行になるように回転させる事で、ボートが通れるようにします。


もちろんボートから降りないと行けないので、四苦八苦しながらボートを岸の近くまで寄せ、ロープで引き寄せて何人かが降りて橋を回転させ、ボートが通ったらまた戻して鍵(南京錠とチェーンで固定されています)をかけ、またその人たちを拾って、旅(笑)を続けます。


第2の難関はロックと呼ばれる水門。
標高に高低がある所では、水路も坂になってしまいますがボートは坂を上る事は出来ませんから、水門を使って水面の高さを調整する事になります。
正確には閘門(こうもん)と言うんだそうですが。有名なパナマ運河でもこの方式がとられているそうです。


水門は観音開きみたいなものが2つで一組になっていて、上流と下流に一つずつあります。この2つの門を開け閉めして門に挟まれた水槽の中の水位を調節します。


下流から入る場合は、まず水門の中に水が入っていれば、下流側の門の下方にある穴みたいなものを門についているねじのようなもの?で開いて水槽の水を下流へ押し出し、下流側と水位を合わせます。


水位が平行になると、下流側の門を開ける事が出来ます。水位に高低があると水の圧力で門が開きません。門は真ん中で川の上流に向かって少し逆Vの字になっています。


門が開いたら、ボートを水槽に入れ門を閉め、穴も閉めます。
そして今度は上流側の門の穴を開けて、高い方からの水を水槽に投入。水位が今度は上流側と同じになったらまた門を開け、ボートを外に出して、穴を閉じ門を閉じて終了。


これが結構重労働で時間がかかるんですよね。
でも、慣れれば手順がわかってくるので、流れ作業的でやっつけられるようになりますが。
ただ乗ってるよりは何かやってるって感じで楽しいけれど、水門って続く時は続くので、連続で2個とか3個とかくると、またかって感じもしてくる(笑)。ボート乗ってるより水門開け閉めしてる時間の方が長いんじゃないかって言う(笑)


「誰だよ、カナルボートホリデーはリラックスできるって言ったのは」という台詞がちらほら〜。
ほんとです。乗ってるだけの時はいいんだけどね〜。


ほんとは出発地点から、夕飯を食べてボートを泊めて宿泊する予定の地点まで、それほどかからないはずだったのですが、何せ初日。7時に予定されていた夕飯なのに、7時半になってもまだ水の上〜。
いったいいつ着くの?!って感じで、最後にパブの明かりが見えてきた!と言う頃にはもうすっかり薄暗い。


あそこの橋をくぐればパブ!と思ったら、暗くてよく見えなかったのですが、実はそれはただの橋ではなくてまたまた水門!
最後の最後でやられた〜!!!
他のボートの人たちが教えてくれて手伝ってくれたので、なんとか手早く通過。
暗いとやりにくいので助かりました。


川岸の感じのいいパブでお夕飯。割りとおいしかったです。


宿泊はボートで。
これが寝心地がよくない(笑)。期待はしてなかったけどね。


とにかく狭い。
ボート自体、ナローボート(細いボート)と言うので狭いです。通路は一人しか通れない。
ベッドはまっすぐ寝てやっとこさって感じ。私でも狭いと感じたので、男性陣はもっときつかったでしょうねー。相方なんかは多分、横はともかく縦が入らないでしょうね。
私が泊まったボートはダブルサイズのベッドもありましたけどね。


後、揺れる。特に寝付くのに問題はないけど、ほとんどの人が、丘にあがっている時も揺れているような気がする、と言っていました。
私は日中とかは特に何とも思わなかったけど、家に帰ってきて、さあ寝ようと横になったらそんな感じがしました。


どちらにしても、個室とかがなく、通路を挟んでもう一つのベッドに他人が寝てるかと思うと落ち着かず、寝たかと思ったら目が覚め、って感じであんまりよく寝られませんでした。
もっと気安い友達とかと一緒だったらましだったかもしれませんが、会社の、しかもまるっきり違うオフィスで働く人と一緒では気が休まりませんでした。


朝は9時出発。元の予定では8時とかいってたけど、絶対無理(笑)。前の日にみんな結構飲んでたもの。


この日は、出発時点からさらに数時間すすんだ後、Uターンして、元来た水路を戻ってボートセンターに4時に戻ると言う予定。
だいぶ慣れてきたので、結構この日はスムーズに行ったと思います。
調子に乗って私も運転させてもらいました。やっぱりちょっと浅瀬に乗り上げたけど(笑)、狭いスイングブリッジを通過させる事が出来たし、慣れたら結構いい感じだったかも?


コツは先手先手に舵取りする事、のような気がする。あ、曲がってるな、と思って修正するとき、修正が目に見えるより前に舵を戻さないと行き過ぎるような気がする。
後は、必要以上に動かしすぎない事、なのかな。どれくらい動かすとボートがどれだけ動く、と言う感覚をつかめば結構うまくいくような気がします。


でも、このレベルにたどり着くまでにはアクシデントが。


水路では基本的に時速4マイル(人が歩く早さと同じくらい)と決まっているんだそうです。
が、その速度の感覚をつかむのにやはり時間がかかって、思ったよりスピードが出ていたらしく、途中舵取りに失敗し、停泊中のボートにぼこんとぶつけてしまったんです(ちなみに運転は私じゃないですよ)。


中に人がいたらしく、中から窓をばんばんってたたくので、ごめんなさい!って感じで謝ってそのまま進んだら、今度はその人、窓を開けて、こちらに向かって叫びだしました。
汚い言葉を使って叫ぶのでこっちはびっくりしてしまいました。それほどひどくぶつかったようには思わなかったのですが、中にいると衝撃の強さが違うのかもしれません。


その後、スイング橋を動かすために停止していたら、その人、自分のボートを降りてやってきてさらにののしり始めました。
あんまり怒っているので、もうこっちはどうしたらいいのか、って感じです。


ぶつけたのはごめんなさい、まだ今日初めてボートに乗る初心者でうまく操縦できなかったんです、と説明したのですが、「飛ばし過ぎだよ、馬鹿野郎、人が住んでんだぞ」と言うような事を延々言ってました。私は中でちょうどお茶を入れてたので、全部聞こえなかったのですが、後から聞いたところに寄ると、水路警察呼ぶぞ、とかいってたらしい。(そんなのいるの?)
そして、センターに戻った時に聞いたところに寄ると、その人はセンターに電話して苦情を入れ、アクシデントのクレームを保険会社に入れると言っていたそうです。


なんとも大事になってしまって、ほんとにイベントを企画してくれた人や迷惑をかけた人には申し訳ない事になってしまいましたが、全体的にはいい経験になりました。


皆さんもスピードのだしすぎにはご注意!(笑)


他にも写真をメインのサイトにアップしてありますのでよろしかったらご覧ください。