姓をどうするか

国際結婚の場合、結婚しても自動的に戸籍の姓が変わらないので、婚姻届とは別に、姓の変更をするのであれば、そのための届けをしないといけません。
なので、届け出ない場合は、自動的に戸籍は旧姓のままになります。


またイギリスでは、婚姻証明書には二人が結婚した、という事実が記されるだけで、苗字は何になるのかということは記載されません。
XXという人がYYという人と結婚しましたよ、と書いてあるだけ。


イギリスでも、日本のように結婚後に女性が男性側の苗字を名乗ることは割りと一般的です。
この手続きは、婚姻手続きとはまた別に行われます。


基本的に、イギリスでは苗字を変えることは強制ではないので、何もしなければ、旧姓のままです。
そのため、夫婦別姓も珍しくありません。
結婚後の姓に関してはいくつか選択肢があります。
(ちなみに女性と男性の婚姻についてのみ記述しています)


1) 旧姓のままにする。
この場合何もしなくてオッケー。ただ、タイトルというものがあります。女性の場合、Missとかいうやつですね。
それをMrs、またはMsに変える場合は、婚姻届を各機関に送って、結婚したので変更してください、と申請します。
一括には行えないので、交通局(免許)、銀行など、個別に申請しないといけません。


2) 男性側の姓に変える
上記のタイトルを変えるのと同様の手続きで、婚姻証明書を各機関に送り、苗字を変えてもらうよう手続きをとります。
おそらく一番一般的な選択肢だと思われます。


3) 複合姓
英語ではdouble barrellingといいます。要するに、二人の姓を両方使うかたちです。
大きくわけて、ハイフンで二人の苗字をつないだり、スペース間に入れたりします。
例えると、「Mary Smith-Jones」とか、「Mary Smith Jones」などになります。

この場合、女性だけが変えるのか、二人とも変えるのかで、少々手続きが変わってきます。
基本的に、この苗字にするには婚姻証明書だけでは不可能です(現在のところ。これはいずれ変わるかもといわれているらしい。追記2013年4月の時点で可能になったみたいです。一番下に追記を入れておいたので、そちらを参照にしてください)。

婚姻届で変更できるのは、タイトルとだんなさんの苗字になることだけ、なのです。
それ以外は変更ではなく、「改名」扱いになり、別途改名手続きをとらないといけません。
改名は、イギリスでは比較的簡単にできます。
日本ですと、家裁を通さないといけないようですが、イギリスでは、Deed pollという書類一枚にサインするだけで完了。
お金はかかりますけどね。
そして、この改名証明書を各機関に送って名前の変更手続きを取ります。
男性も女性も同じ苗字にしたいのであれば、本来であれば二人とも、この改名手続きをとらないといけません。

が、これが一人分で済む裏技があります。女性は婚姻届にて「だんなさんの苗字になれる」というところが、ミソです。
つまり、男性もこの苗字にするのであれば、「結婚前」に男性がまず複合性に変えてしまえばいいのです。
そうすると、婚姻後は、女性は改名手続きなしの婚姻届のみでそちらの苗字に変更することができます。
女性のみが変えるのであれば、やはり、一人分(女性の分)の改名手続きを行ってから名前の変更手続きをします。

4) 旧姓をミドルネームにする
姓はだんなさんの苗字にするが、旧姓は残したい、ということで、旧姓をミドルネームとして残すという選択です。
この場合、だんなさんは苗字は変わりません。
この変更に関しては、ちょっと曖昧で、「Such name changes can be accomplished by Deed Poll」と言う記述が見られるので、必ずしも必要である、というわけではないようなのですが、今のところ不明。

5) まったく新しい名前にする
最近では、二つの名前を組み合わせて新しい名前を作る人も増えてきているそうです。
例えば、山田さんと田中さんが結婚するに当たって、山中さんになっちゃおう!みたいな感じです(笑)。
これも改名に当たるので、Deed pollで3)と同じような手続きをとります。

6) 男性側が女性側の苗字にする
これは男性側にとって改名になるので、男性がDeed pollにて改名手続きを行います。
しかしなぜ男性は婚姻届けだけで苗字変えれないんだろうねー。不公平じゃないのかな?


さて、これを基本知識として踏まえたうえで、私の苗字はどうしましょうか、というのが本題です(長い)。
とりあえず、戸籍の名前を変更するつもりは今のところないので、日本では旧姓のまま、婚姻の事実だけが戸籍に記され、私が戸籍筆頭者になります。
それはいいとして、イギリスでどうするか。


相方とも話し合ったんだけど、埒が明かん。
お義母さんの旧姓がかっこいいので、それにしちゃおうか、とか(離婚してるのに、彼女は苗字がそのまま。変えててくれたらそっちにしたのに。笑。あ、でも子と親は関係ないんだった…これは5のケース)、複合性にしようか(3のケース)とか、相方が苗字を私のにするだとか(6のケース。でもそこまで私は自分の苗字に愛着がない。戸籍を変えないのは、変えたら後がめんどくさそうだから。笑)、案はいっくらでも出るのですが、現実的なことを考えると、1か2か4だよなあと考えています。
1,2は特に問題ないんだけど、4はちょっと不明な点が多い。
まず、上記にも書いたように、Deed pollは必要なのかどうなのかという点と、私がDeed poll取るのってどれだけ有効なの?という点。
基本的には外国人も取れることになっているのだけど、Deed pollは、すべての名前はそれに統一すること、という条件が根本にある。すべて、とはパスポートも含めて、のこと。
でも、私はDeed pollではパスポートの名前は変更できないので、それだけ名前が違ってしまうことになる。どっちみち、日本ではミドルネームはできないので、複合姓同様、二つの名前がくっついた苗字になる(山田スミス、等。しかも、受け付けてもらえる確率は低いらしい)。
それはまずいんじゃないか?、と。


ネットでみると、少しだけど、イギリス国内で旧姓をミドルネームで使っている、という書き込みをちらほら見かける。
ただ、どうやってその人たちが、名前を変更したのかはかかれていない。その人たちがすべてDeed pollを申請したとはちょっと思えないので必要がないのかも。
あ、というか、そもそも「変更」をしてないのか?
結婚してから渡英したなどして、最初からその名前で口座開設などしたなら変更ではないのか。ふーむ。そうなるとまた話が違うな。


とりあえず、イギリスではいつまでに名前を変更をしなくてはいけない、という決まりはないので、まず日本の戸籍とパスポートの付記付け(配偶者の名前を括弧書きで付記する)をやってから、イギリスのほうは変更しようかな、と思っている。
そのほうが、私の国際的な身分証明書であるパスポートに私と相方の名前が両方載るので、後々苗字の変更が楽じゃないかなー、と思うから。多分…(笑)。
特に免許のようにパスポートでの身分証明がいる場合などは、もし4のミドルネームで申請するなら有利じゃないかなと思うので。
まあ、後はやってみるしかないかな。
落ちはなし、ですが、また忘れたころに事後報告をするかもしれません。


追記: Deed Pollとは?
わかりにくいのですが、この人はこういう名前ですよ、という証明書というか、どちらかというと契約書のようなものだそうです。
つまり、これから私はこの名前を使って生きていきます、という契約を示すものらしいです。
契約なので、その名前以外使わないこと、という規定になっているらしい。
おそらく犯罪防止のためかとは思うが、何らかの法的な拘束、強制があるのかどうかわからない。つまり、使わなかったからといって罰則があるのかどうかはちょっと不明。

追記:
後日談 http://d.hatena.ne.jp/queue_pea/20130404/1365115111